2019年5月10日のAdobeの方針変更によりCreativeCloudの過去バージョンの取得が制限されるようになりました。そのため この記事で紹介している方法も制限を受けることになりました。詳しくはこちらの記事をお読みください。
先日 とあるお仕事で クライアントから「AfterEffectsのプロジェクトデータも一緒に納品して欲しい」と言われました。
先方のAfterEffectsのバージョンを確認すると「CS5.5」とのこと。
現在、私が作業で使用しているバージョンは「CC2017」ですので、大分開きがあります。
少し前からAfterEffectsでも、過去バージョンの形式で保存ができるようになったことは知っていたのですが「どこまで遡って書き出せるのか?」「具体的にどう書き出せばよいのか?」といったことが不明でしたので、少し時間をもらってこの機会に調べてみることにしました。
知っておきたい基礎知識
そもそも旧バージョンの形式で保存可能なの?
AfterEffectsのプロジェクトファイルは、各バージョン固有の形式で保存されます。
そのため2010年あたりまでは「あるバージョンで作成したプロジェクトは より古いバージョンのAEでは開けない」というのが ユーザーの常識でした。
CS5.5から過去バージョンの形式で保存可能に
しかしCS5.5以降のバージョンから プロジェクトを保存する際に「過去の形式」が選択できるようになりました。
旧バージョンのプロジェクトを使用する(After Effects)
この文書では、Adobe After Effects の旧バージョンプロジェクトのサポートについて説明しています。After Effects は旧バージョンのプロジェクトを保存することができ、また旧バージョンの形式で保存することができますが、対応するバージョンには制限があります。
やり方はとても簡単で 「ファイル > 別名で保存」から過去の形式を選択するだけです(※下図はCC2017)。

しかし 基本的には「1個前の”整数バージョン”」の形式に限って保存が可能になっているため、今回のケースのようにバージョンに大きな差がある場合は 書き出しにはかなりの力技が必要です。
【2019.04追記】 cc2019(16.x)からは、2個前の”整数バージョン”でも書き出しができるようになっています。

整数バージョンとは?
「整数バージョン」といっても、一般的にはあまりなじみがないと思いますので、表を作成してみました。
ここでいう整数とは 要するに初代AfterEffectsを1.0とした場合に 各主要バージョンに割り振られている順序数のことです(Wikiの「Adobe After Effects:バージョンの変遷」の項目 参照)。

現状の最新版 CC2019の整数バージョンは「16.x」となります。
また 名前だけみると別物のような「CC2014」と「2015(2015.3)」は、整数バージョンとしては同じ「13.x」のマイナーチェンジ版の関係になっています。
CS4以前のバージョンは?
Adobe公式の方法では CS4以前のバージョンに関しては 基本的に書き出しが出来ません。
ただ「pt_OpenSesame」という有料スクリプトを使うと、CS3までの形式で書き出しが可能になるそうです(※わたしは使用したことはありません)。
pt_OpenSesame – フラッシュバックジャパン
OpenSesame は、After Effects プロジェクトファイルにバージョン間の互換性を持たせるスクリプトです。
書き出せる過去形式のまとめ
以上を踏まえて、当該バージョンから書き出しができる過去の形式をまとめたのが以下の表になります。

例えば、整数バージョン「14」であるCC2017からは、1個前の整数バージョンである「13」の形式でプロジェクトを書き出すことができます。
ですから、ここで書き出したプロジェクトファイルは、整数番号「13」にあたる「CC2014、2015、2015.3」の各アプリで開くことが可能です。
同じように「CC2014、2015、2015.3」からは、CC12(CC)形式が書き出せますので、それらのファイルは「CC」で開く事が可能です。
このように 基本的に 1個前の整数バージョンの形式で保存が可能なのですが、例外的に「CS6」からは「CS5.5」形式でしか書き出せず「CS5」用には書き出しができません。
書き出し方法
以上を踏まえて具体的な書き出し方法を考えてみましょう。
具体的なやり方
今回のわたしのケース「CC2017で作成したプロジェクトデータを、CS5.5形式で保存」したい場合の工程は、以下のような手順になります。
- 当該プロジェクトデータを AfterEffects「CC2017」で開き「ファイル>別名で保存」から「CC13」形式で書き出して保存
- 上記で保存したプロジェクトを「AfterEffects CC2014(もしくは2015、2015.3)」で開き、「ファイル>別名で保存」から「CC(CC12)」形式で書き出して保存
- 上記で保存したプロジェクトを「AfterEffects CC」で開き、「ファイル>別名で保存」から「CS6」形式で書き出して保存
- 上記で保存したプロジェクトを「AfterEffects CS6」で開き、「ファイル>別名で保存」から「CS5.5」形式で書き出す
そうです、ただの力技です(苦笑) 非常に面倒ですね・・・
AfterEffects 旧バージョンの入手方法
2019年5月10日のAdobeの方針変更によりCreativeCloudの過去バージョンの取得が制限されるようになりました。そのため この記事で紹介している方法も制限を受けることになりました。詳しくはこちらの記事をお読みください。
当然ですが、以上の作業を行なうためにはAfterEffectsの過去バージョンを複数インストールしておく必要があります。
AdobeではCreativeCloudへの移行後「CS6」以降の過去バージョンはいつでもダウンロード&インストールができるようになっていますので、上述のように「CS5.5」までは力技で保存が可能です。

【関連記事】 CreativeCloudの導入を検討している方は以下の記事も合わせてお読みください。
旧バージョンのインストール方法
まずは CreativeCloudアプリを起動し・・・

「Apps」タブで「製品の一覧」を表示させます。

AfterEffectsのアイコンを探し、「インストール」部分をクリックすると、ダウンロード&インストールが可能なバージョンが表示されます。

希望のバージョンをクリックすると、後は自動でダウンロード&インストールが始まります(※途中AdobeCCへのログインを促されたら ログインを行います)。

アイコンは全て一緒です。

まとめ
2017年現在、わたしのようにCS5.5形式のプロジェクトデータを求められる場面というのはなかなか少ないと思いますが、こうした方法があるということを頭の隅にいれておくと、いつか役に立つことがあるかもしれません。
また、当然ですが新バージョンにしか含まれていないエフェクトなどは、過去バージョンに引き継がれませんのでご注意ください。
ウィキペディアの「Adobe After Effects:バージョンの変遷」の項目などを参照して、各バージョンにおけるフィルターや機能の実装を確認しましょう。
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参考記事
AfterEffectsのバージョン情報に関しては以下の記事も参考になります。
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