SONY Professional RAIDの速度を検証してみました

こんにちは、管理人の高田です(@eizo_memo)。

SONYから発売されているHDD RAIDドライブ「Professional RAID」のデモ機を借りることができました。

動作検証した内容をここにメモしておこうと思います。

はじめに

少し前に メインの編集ソフトをEDIUSからPremiereに切り替えたのですが、少々(いや かなり)困った問題が生じました。

動画の再生が非常に重たいのです(※1)。

MEMO

※1:『ビデオ SALON (サロン) 2017年 11月号』の「CreativeCloud活用術 第22回」によると、他ソフトからPremiereに乗り換えたユーザの間にこのような声が多いそうです。記事によると「これはソフト自体の問題ではなく 動画素材の形式に起因するもの」とのこと。自前のコーデックを持たないAdobe製品ならではの宿命ということでしょうか…

私が普段扱っている「XDCAM HD422(50MB)」だと問題ないのですが、外部からもらう「ProRes422HQ」素材などは フルHDサイズでも頻繁にコマ落ちしてしまいます。

ましてや 4K素材なんて とてもまともに再生できません。

もろもろ検証した結果、どうやら動画を保存しているストレージの転送速度がネックになっているらしいことが判明しました。

現状の私のシステムでは、7200回転のHDDをそのまま「USB3.0」で接続しただけで、速度は以下のような感じ。

  • WRITE:120~150MB/s
  • READ:140~160MB/s

「今まで EDIUSでは同じシステムでもサクサク再生できてたのに…」と涙目になりながら、どうしたものか考えていたところ、PRO NEWSさんのこちらの記事に目が留まりました。

[Back UP↑]Vol.03 ポータブルストレージが支える4Kワークフロー

txt:江夏由洋構成:編集部4Kのワークフローを支えるのは「ストレージ」4Kや8Kの撮影はデータサイズとの闘いといっていい。一日の撮影量が1TBを超えることはよくある4Kによる映像制作はすでに特別なものではなくなった…

SONY製のストレージ群を実際に使用している マリモレコード 江夏さんの記事で、中にこんなことが書かれていました。

既に60本以降のOAを終えているものの、過酷な撮影現場や編集環境が点々と変わる状況であっても一度の事故や故障もないというのも私が信頼を寄せている理由だ。4TBや6TBという大容量も魅力であると同時に、正に安心とスピードも兼ね備えた理想のドライブだと思っている。

(中略)

この撮影データがインジェストされたProfessional RAIDはそのままディレクターに手渡され、一貫してAdobe Premiere Pro CCでオフライン編集からオンライン編集までが行われる。4Kの素材もこのProfessional RAIDから直接編集されるのだが、最大440MB/sというスピードは何らストレスのない再生環境を4Kであっても実現してくれる。「[Back UP↑]Vol.03 ポータブルストレージが支える4Kワークフロー」より引用

この引用部分で紹介されているのが「Professional RAID」という製品。

「いいな~欲しいな~」と思いつつSONYの公式ページを見ていたところ、プレゼントキャンペーン開催中であることを発見!

応募期間は「2017年10月2⽇(月)〜12月22⽇(金)」で、抽選で10人に「6TBモデル」が当たるとのこと。

プロフェッショナルRAIDプレゼントキャンペーン | キャンペーン | 法人のお客様 | ソニー

プロフェッショナルRAIDプレゼントキャンペーン

さっそく応募してみたのですが、入力フォームの途中で「デモ機」の貸出しも行っていることが判明! 合わせて申し込んでみました。

すると それから2日ほどして、ソニーから電話が!

もしや当選してしたのか!と期待に胸を膨らませながら 電話にでると「デモ機の貸出し日程の件でお電話しました」とのこと。

まあ、そうですよね、簡単に当たらないですよね…

というわけで、ありがたくデモ機(PSZ-RA6T)を貸してもらうことにしました。

Professional RAIDのスペック

Professional RAIDのスペックを簡単にまとめておきます(公式ページ)。

Professional RAID

3 RAID 1モードに設定した場合、容量とデータ転送速度はRAID 0の場合の約半分となります。

ラインナップは、容量違いで以下の2つ。

  • PSZ-RA4T(容量4TB)
  • PSZ-RA6T(容量6TB)

主な特徴

主な特徴は以下の通り。

  • 3.5インチHDD(7,200rpm)を2台搭載し、3つのRAIDモード(RAID 0/RAID 1/JBOD)を選択可能。
  • 高速性を重視したRAID 0(ストライピング)モードの場合、最大440MB/sの高速データ転送が可能。
  • 冗長性を重視したRAID 1(ミラーリング)モードでも使用可能
  • 接続インターフェースはUSB 3.0×1、Thunderbolt2x2を搭載。Thunderbolt2使用時は6台までのデイジーチェーン接続が可能

最大440MB/sというのは「RAID 0(ストライピング)モード」の場合です。

あくまで理論値であるということと、「RAID 0」の場合 冗長性が無いのでデータ破損などの可能性が他よりも高くなる点は注意が必要です。

PSZ-RA6Tの外観

というわけで デモ機(PSZ-RA6T)が到着。

デモ機の試用期間は1週間ということで、さっそく挙動を検証してみることにしました。

こちらが前面です。 電源ボタンだけのシンプルなデザイン。

重さは約2.9kgとのことで、非常に軽いです。ペットボトル(1.5L)くらいでしょうか?

持ち手がついているので持ち運びも楽ちんです(これは地味に便利)。

背面はこんな感じです。

USB3.0の口が1つと、サンダーボルト2の口が2つあります。

ドライブの周りにはシリコン製のダンパーでカバーされています。撮影現場に持ち込んでも安心の設計ですね。

公式サイトの記述によると「HDD保護のため、本体周囲と内部に衝撃吸収用のゴムダンパーを施しています」とあるのでHDDケース内にも しっかりダンパーが入っているようです。

RAIDモードの変換

デモ機はデフォルトでexFATにフォーマットされているため、Windows環境でも MAC環境でもそのまま使用ができます。

また RAIDOのモードはデフォルトでは「RAID 0」になっています。

RAIDモードの確認方法

背面のセレクトボタンを押しつつ、前面の電源ボタンを押すと、現在のRAIDのモードが確認できます。

届いた状態では「RAID 0」になっていました。

明かりはずっとついてるわけではなく数秒たつと消灯します。

ドライブの認識

HDDの電源をいれると、自動でドライバのインストールが行われ、数秒でドライブが認識されます。

付属の説明書によると「WindowsでThunderBolt接続して使用する場合、本機の接続を許可するまでエクスプローラーにドライブが表示されません。ThunderBoltソフトウェア上で接続を許可してください」とのことでしたが、私の環境では特になにもしなくてもThunderBolt接続でも自動で認識されました。

速度の検証

ということで、気になるドライブの速度測定を行ってみました。

私のWindows機には、USB3.0とThunderBird2のカードが両方ついているので、それぞれで接続した場合の速度を比較をしてみました。

USB3.0接続の転送速度

USB3.0で接続した状態でBlackMagicの「Disk Speed Test」にかけてみました。

結果は以下のとおり(RAID 0)。

  • WRITE:260~300 MB/s
  • READ:300~310 MB/s

さすがはRAID0ですね。現状の私の環境(150MB/s前後)から考えるとかなり早くなります。

ThunderBolt2 接続の転送速度

続いて ThunderBoltで接続した状態でBlackMagicの「Disk Speed Test」にかけてみました。

結果は以下のとおり(RAID 0)。

  • WRITE:300~340 MB/s
  • READ:380~390 MB/s

すごいですね、規格の仕様上当然の結果とはいえますが USB3.0よりもさらに早くなっています。

USB2.0 接続の転送速度(おまけ)

ためしにUSB2.0でもつないでみましたが、まあ当然のこととはいえ 50MB/sにも届きませんでした。

  • WRITE:35~40MB/S
  • READ:約40MB/S

Premiereでの挙動を確認

で、早速「Professional RAID」に保存した動画素材を Premiereに読み込んで動作確認してみました。

※Premiereの再生ウィンドウには再生時に動画がコマ落ちしているか否かを確認できる「コマ落ちインジケータ」を表示することができます。これを使うと「コマ落ちなし=緑色」「コマ落ちあり=オレンジ色」で状況を確認できます。以下ではこのインジケータの表示をもとに記事を作成しています。

XDCAM HD422 50M (1920×1080)

現在のところ、私がメインで使用している動画形式「XDCAM HD422」。

こちらは現状でも「緑色(コマ落ちなし)」で普通に再生できているのですが、たまーに「オレンジ(コマ落ちあり)」になってしまうことがありました。

しかし、こちらもしっかり安定した再生ができます。

ProRes422HQ (1920×1080)

先にも書いたように 外部から頂くデータで多いのが「ProRes422HQ」動画素材。

現状の私のシステムでは、毎回 オレンジ色になってしまうのですが、Professional RAIDからの読み込みだと「緑色(コマ落ちなし)」で しっかり再生をキープしてくれます。

また、タイムライン上でクリップを分割したり、移動したりといった 編集操作を行っても まったくストレスはありません。

ProRes422 (3840×2160)

続いて 4K(3840×2160)サイズのProRes動画も再生してみました。

しかしこちらは 残念ながら、ThunderBolt2での接続でも30秒のクリップの再生中「100~130F」程度のコマ落ちが発生してしまいました。

「Disk Speed Test」での測定結果によれば、Professional RAIDの速度が出ていれば「2160p60」まで再生可能なはずなのですが、うまく再生できません。

やはり Windows環境では ProResの再生がちょっと苦手なのかも知れません。

GoproCineForm(3840×2160)

最後に 同じ4Kサイズの動画を、Adobe推奨のGoProCineform(10bit YUV)に変換し、それを再生してみました。

すると、こちらは コマ落ちなしで普通に再生できました!

何度か再生を繰り返すと 時折1~2Fほどコマ落ちすることはありますが、ほぼ見た目にはわかりません。

これなら 編集時にもストレスを感じることはないと思います。

ちょっと気になった点

細かい点なんですが、電源コードと本体の接続がちょっと緩めなのが気になりました。

実際に電源コードが抜けるような事態はそうそう無いと思いますが、精神衛生上よろしくありません。

ロック機構とまではいかないまでも、もう少しカッチり硬めにはまってくれるとうれしいですね。

まとめ

ということで、ざっくりとですが「Professional RAID」を検証してみました。

やはり「最大440MB/s」の圧倒的なスピードはいいですね~、欲しい!

また、速度はもちろんのこと、ドライブに物理的な持ち手がついていたり、衝撃吸収用のゴムダンパーが装備されていたりと、動画製作の現場を知っているSONYならではの細かい配慮が行き届いている点も好感がもてますね。

ただ「RAID 0」モードでの使用時は、高速である反面、その性質上 データエラーの可能性が高まってしまう点は頭にいれておきたいところです。

マスター素材を扱う際などには、このドライブ以外にデータ保管用ドライブを別途用意し、素材を分散しておくのが望ましいと思われます。

私の環境では6TBまではいらないので、4TBモデルを購入するかもしれません。キャンペーンに当選しないかな~。

4TB版は↓こちらから購入できます。

6TB版は↓こちらから購入できます。

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