こんにちは、管理人の高田です。
この記事では、Adobe Photoshopでテレビ放送用映像のセーフマージンのガイド線を自動作成するアクションファイルの紹介と配布をしています。
このPhotoshopアクションで作成されるセーフエリアは、ARIB(一般社団法人 電波産業会)による「アスペクト比16:9の画面におけるセーフティゾーン(ARIB TR-B4)」の「ver2.0」に準拠した情報範囲「情報範囲:93%、重要情報範囲:90%」に対応したものです。また、環境によってはまだver1.1時代の旧基準を使っている場合もあるかと思い、一応そちらに対応した情報範囲「情報範囲:93%、重要情報範囲:88%」のアクション(@88)も作成してあります。
記事の目次
作成したアクションについて
まず、このアクションについて簡単に説明します。
アクション作成の動機
いつのバージョンからだったか、Photoshopで新規にファイルを作成する際に、フィルム・ビデオ系のテンプレートを使用すると、自動的にアクションセーフとタイトルセーフ(であろう)ガイド線を作成してくれるようになりました。

これはたしかにありがたい機能ではありました。
・・・が、HD(16:9)時代に移行して長いこと経つというのに、いまだにSD(4:3)時代に用いられていた基準(アクションセーフ:90%、タイトルセーフ:80%)のままになっています。
そのため 現状では、テレビ放送用に画像ファイルを作成する際のガイドとしては、まったく使いものになりません。
Adobeに問い合わせてみたところ、CC2017現在 デフォルトで作成されるガイド線の範囲を調整することはできないそうです。【2019年4月追記】 その後CC2019になっても改善される気配はありません
そこで、現状の映像業界で一般的(?)と思われる「ARIB TR-B4(ver2.0)」に準拠した範囲、つまり「アクションセーフ:93%、タイトルセーフ:90% 」のガイド線を自動作成するPhotoshop用アクションを作成してみました。
興味がある方は、自己責任でお使いください(※不具合などありましたらコメント欄からご指摘ください)。

アクションのファイル本体(ここからダウンロード)
アクションファイルは以下からダウンロードしてご利用ください。
ダウンロードしたファイル(zip)を解凍して、任意の場所に保存しておきます。

ファイル本体(video_safe_trb4_ver2.atn)と、注意書きのテキストデータです。
アクションの使い方
Photoshopを起動し、アクションパネルを開きます。
アクションパネル右上をクリックし、「アクションを読み込み」を選択し、ダウンロードしたアクションファイルを選択します。

以下のように「VideoTitleSafe」フォルダが追加されます。

「SafeAreaGuide@90」を選択した状態で、パネル下部の再生ボタンを押すと アクションがスタートします。


「Guide_Vide93_Title90」という名称のレイヤーが新規作成され・・・

セーフマージンのガイド線が作成されます。

外側が「アクションセーフ:93%」で、内側が「タイトルセーフ:90%」となります。

以上です。
セーフエリアの呼び方について
この記事ではAdobe系のソフトの表記にしたがって「アクションセーフ」「タイトルセーフ」と呼んでいますが 以下のような呼び方もあります。
- 情報範囲:アクションセーフ、テレビフレーム(テレフレ)、オーバースキャン
- 重要情報範囲:タイトルセーフ、タイトル安全
ARIB TR-B4について
「ARIB TR-B4ってなんじゃい!?」という方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しておきます。
日本ではARIB(一般社団法人 電波産業会) という団体が、放送や通信に関する各種規格、運用上のガイドラインなどを作成しています。
上述の「ARIB TR-B4」とは、表題のとおり、ARIB が推奨する「アスペクト比16:9のテレビジョン放送番組の制作時におけるセーフティゾーンについてのガイドライン」を記載した文章のことです。
この文章の中で、TVで映像を放送する場合のセーフエリア(情報範囲)は○○%までにしましょう・・・といったことが提唱されているわけです。
時代の推移とともに、改訂が行われており、2016年現在の最新版は「ver3.0(2016年3月25日改定)」となっています。
以前は、全文が無料で入手できたのですが、ARIBの方針変更のため 2016年10月より 冒頭の一部分のみ閲覧が可能となっています(※4000円弱で購入可能)。
注意事項
ただしこの「ARIB TR-B4」は強制的な取り決めではなく、あくまでガイドラインに過ぎないものです。
個々のプロジェクトにおいては、セーフエリアの範囲が異なる場合もありますので、事前にクライアントやプロデューサー側に範囲を確認しておきましょう(※以前携わった海外向けの映像のお仕事では「アクションセーフを80%にしてください」という指示を頂いたこともあります)。
・・・とはいえ、私の経験上、クライアントに「セーフエリアはどうしますか?」と訊いても「えーと、どこまで大丈夫なんでしたっけ?」と逆に質問されることが一般的です。
その場合は、上述のTR-B4の範囲を先方に説明して、あとは「この範囲に準拠して作業をすすめますので問題があるようでしたら言ってください・・・」と逆提案して作業を進めるようにしています。
ちなみに、2017年あたりを目安に(※1)して、さらに範囲を広げた「情報範囲(アクションセーフ):97.5%、重要情報範囲(タイトルセーフ):95%」というエリアに移行することが提唱されています。
その他ソフトのセーフエリア設定方法
オマケとして Photoshop以外のAdobe製品(Premiere、AfterEffects)や、EDIUS(ver6.5)のセーフエリアの設定方法を紹介しておきます。
これらの映像系ソフトでは、デフォルトで「アクション:90%、タイトル:80%」というSD(4:3)時代の基準に設定されていることが多く、そのため、自分でセーフマージンを変更してあげる必要があります。
Premiere CC2015
「ファイル>プロジェクト設定>一般」をクリック。
「プロジェクト設定」ウィンドウ下部の「アクションおよびタイトルセーフエリア」部分の項目を設定する。

Adobeのソフトでは 「範囲の外の割合」で設定する必要があるので、ちょっと注意が必要です。
デフォルトでは「タイトル:20%、アクション:10%」になっているので、これを「タイトル:10%、アクション:7%」にしましょう。
AfterEffects CC2015
AfterEffectsも、Premiereとほぼ同様の設定になります。
「編集>環境設定>グリッド&ガイド」をクリック。

ウィンドウ下部の「セーフマージン」項目を「アクション:7%」「タイトル:10%」にする。
EDIUS ver6.5
もはや骨董品といってもよい、私のEDIUS(ver6.5)。
「設定>ユーザ設定>プレビュー>情報表示」で一応設定はできるのですが・・・

なんと タイトルセーフが80%固定で動かせません。
幸いアクションセーフの方は 変更が可能ですので、こちらの数値を変更して適宜タイトルセーフ、ビデオセーフとして活用します。
まあ、なにせ古いバージョンなので 仕方ありません。
私個人はプレビュー用のモニタにセーフエリアのガイドが表示できるため、普段の確認はそちらで行っています、無理矢理EDIUS内で確認する場合は、上記のような方法になります(あくまでver6.5のお話ですので 最新版がどうなっているのかは不明です すみません)。
まとめ
というわけでTVセーフエリアのガイド線を自動作成するPhotoshopアクションの紹介でした。
Adobe CreatveCloudの導入/更新を検討している方には、たのまなの「アドビオンライントレーニング通信講座」がおすすめ。
Adobeアプリの動画講座に加えて、CreatveCloud コンプリートプラン(全アプリが利用可能なプラン)が付属し、なんと"学割価格" で利用できてしまいます。
※私が 実際にトレーニング講座を受講した際の感想を記事にしていますので、興味がある方はそちらも合わせて読んでみてください。
【キャンペーン情報】現在「Adobeオンライントレーニング通信講座」が最大49.6%OFF価格で受講できるキャンペーン開催中!2021年3月31日(水)までの期間限定なのでお早めに!
- 価格:36,346円(通常:71,637円 税抜) ほか
- 期間:2021年1月12日 ~ 2021年3月31日まで