VEGAS 14から書き出したProResの画質を検証してみました

こんにちは、管理人の高田です(@eizo_memo)。

MAGIX社の編集ソフト「VEGAS」では、バージョン14から Windows環境でも ProRes動画が書き出せるようになりました。

先日の記事では、ひとまず「ProResとして認識される動画が書き出せる」というところまでは確認していたのですが、細かい検証までできていませんでした。

そこで、今回はもう少し詳しくVEGASのProResについて検証作業を行なってみることにしました。

関連記事 2017年9月に発表された「15」の検証記事も書いていますので、合わせてお読みください

検証の方法

どのように検証すべきか迷いましたが、本家 FinalCutProから書き出したProRes動画と、VEGASのProResを用意して、その画質やメタ情報を比較してみることにしました。

そこで、以下のような方法で、検証用の動画素材を作成しました。

  1. Windows、MAC両方で読み込み可能な形式で ベース素材を作成する
  2. ベース素材をもとに「VEGAS(Win)」と「FinalCutPro 7(MAC)」で それぞれProRes動画を書き出す

書き出したのは「ProRes422 HQ」「ProRes4444」の2つで、いずれもサイズは「1920×1080/60i」に設定しています。

検証用動画

検証用の動画として作成したのは、以下のファイルです。

  1. ベース素材:非圧縮YUV-10bit.AVI
  2. VEGASから書き出し:ProRes422 HQ / ProRes4444
  3. FCP7から書き出し:ProRes422 HQ / ProRes4444

ファイルの詳細は以下の通り。

(1) ベース素材「非圧縮YUV-10bit.AVI」

PremierePro cc2015.3(Win)から HDカラーバーと写真(下)で構成された60秒間の動画(非圧縮YUV-10bit.AVI)を書き出しました。

これが検証するProResデータの「元素材(ベース素材)」となります。

(2) VEGASで書き出した「ProResHQ/ProRes444」

ベース素材を元に、VEGAS(windows)上で書き出したProRes動画です。

「ProRes422HQ」と「ProRes4444」の2種類を作成しています。

「ファイル>名前をつけてレンダリング」から「Magix ProRes」を選択。

テンプレートを元に、自分で設定を「インタレース」に変更して書き出しました。

(3) FCP 7で書き出した「ProRes422HQ/ProRes4444」

Final Cut Pro 7.0.3(Mac)に ベース素材を読み込み ProRes動画を書き出しました。いわば「本家・正統」なProResですね。

こちらも「ProRes422HQ」と「ProRes4444」の2種類を作成しています。

シーケンスの設定にて「レンダリング品質」を「ProRes422HQ」と「ProRes4444」にそれぞれ変更し・・・

この状態で「書き出し>QuickTimeムービー」から、「ProRes422 HQ」「ProRes4444」を書き出しています。

私の環境

以下のような環境で検証を行っています。

Windows7 sp1/64bit
・ PremierePro cc 2015.3
・ VEGAS 14-build211(※1)

MAC OS X 10.6(Snow Leopard)
・Final Cut Pro 7.0.3

MAC OS X 10.11(El Capitan)
・Final Cut Pro X(10.3.2)
・PremierePro cc 2017

※1:VEGAS14に関して、ProResが書き出せる「Bild211」は 国内ではまだ正式には販売されていません。ただし 日本代理店のソースネクストに問い合わせると「Bild211」が利用できるようになります。今回の検証はこちらで行っています。

映像の比較

VEGASで書き出したProResは、Windows環境からMAC環境へのデータ受け渡し時に活用されることが想定されます。

そこで、検証用に作成した各動画クリップを、MAC環境のアプリに読み込んで波形を確認してみました。

検証に使用したのは以下の3つの編集ソフトです。

  • Final Cut Pro 7.0.3
  • Final Cut Pro X(10.3.2)
  • PremierePro CC 2017

この後の記事では、各アプリにおける波形表示を映像で紹介しています。

映像の流れは、基本的に以下のようになっています。

  1. 「ベース素材」と「MACのProRes(本家)」の波形をパカパカして比較
  2. 「ベース素材」と「VEGASのProRes」の波形をパカパカして比較
  3. 「MACのProRes(本家)」と「VEGASのProRes」の波形をパカパカして比較

FinalCutPro 7.0.3 の波形表示

検証用クリップをFinal Cut 7.0.3に読み込み、ビデオスコープでパカパカさせてみたものです。

シーケンスは「スーパーホワイト」モードに設定してあります。

輝度スケールの伸張、ガンマシフトなど目立った変化はありません。

肉眼の見た目では、特に違いが分かりません。

動画の基本情報

動画の基本情報がこちら。

VEGASのProResはデータレートが大きくなっていますね。

ただし基本的な部分では目立った違いはありません。

FinalCutPro X(10.3.2) の波形表示

3クリップをFinal Cut Pro X(10.3.2) に読み込み、ビデオスコープでパカパカさせてみたものです。

輝度スケールの伸張、ガンマシフトなど目立った変化はありません。

肉眼の見た目では、特に違いが分かりません。

動画の基本情報

コーデックは、VEGASのProResも本家同様に「Apple ProRes」と表記されています。

PremierePro CC 2017 の波形表示

3クリップをPremierePro CC 2017に読み込み、ビデオスコープでパカパカさせてみたものです。

「ProRes422HQ」において、VEGASのProResの輝度と色相が明らかに動いています(25秒付近)。 肉眼でも違いがはっきりと分かります。

ただし「ProRes4444」動画の方は 特に大きな変化はありません(2分20秒付近)。

ちなみに、Premiereの過去バージョンを複数インストールして検証したところ、CC2014までは 問題がないことが判明。

また、Windows環境の「PremiereCC2015.3/2017」でも、多少の波形の変化はあるものの 上記動画のような大きな変化は発生しませんでした。

まとめると こちらは「MAC版PremiereProのCC2015以降で、VEGASで作成した ProRes422HQ動画を読み込む際のエラー」ということになります。

動画の基本情報

またCC2017において クリップの基本情報を確認してみました。

VEGASで作成したProResは「フィールドオーダー」項目が「フィールド(不明なフィールド)」と表示されてしまいます(WIN版、MAC版両方で確認)。

また「ビデオコーデック」項目も、本家が「Apple ProRes」なのに対して「prores」となっており、別物として扱われているようです。

【2017.07.10追記】フィールドオーダーの問題に関しては以下の方法で対処可能です。

Premier上で当該クリップを右クリックし「変更 > フッテージを変換」を選択。

「クリップを変更」ウィンドウで「フィールドオーダーの指定:奇数フィールドから」を選択し「OK」をクリックします。

以上を行うと フィールドオーダーの情報が「奇数フィールド」に切り替わります。

動画の基本情報(MediaComposer First)

また、おまけとして、リリースされたばかりのAVID MediaComposer First(MAC)にて、基本情報を確認してみました。

こちらで確認すると、VEGASのProResは なぜか「プログレッシブ」として認識されてしまっています。

データサイズとメタ情報の比較

最後に、データサイズとメタ情報の比較です。

データサイズ

書き出したデータの容量は以下の通りでした。

  • ProRes 4444【FCP】・・・1.59GB
  • ProRes 4444【VEGAS】・・・2.54GB
  • ProRes 422 HQ【FCP】・・・1.10GB
  • ProRes 422 HQ【VEGAS】・・・2.06GB

VEGASで書き出したProResの方がデータサイズが大きくなっていますね。

メタ情報

MeadiaInfoを使って「ProRes422HQ」のメタ情報を確認してみました(※クリックで拡大します)。

VEGASのProResには、一番下の「その他」の項目がなく 動画内にタイムコード情報が含まれていないことがわかります。

検証のまとめ

実際の映像に関しては、VEGASのProResも、本家のProResも見た目に大きな違いがなく、肉眼で両者を見分けるのは難しいと思われます。

波形的にも、目立ったガンマシフトや輝度スケールの伸張などはありませんから、見た目の画質だけであれば「お、いけるじゃん!」という話になるとは思います。

ただし、PremiereCC2017における「ProRes422HQ」の表示や、フィールドオーダー情報の不具合など、挙動が使用アプリによって異なってしまうのは なかなか厳しいですね。

データサイズのことを考えると、VEGASの「Windows環境からProResが書き出せる」という機能自体はとても便利だと思いますので MAGIX社に今後の改善を期待したいところです。

【2017.10.31追記】ver15からは国内版でも書き出しが可能になりました

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3件のコメント

貴重な情報を検証していただき、ありがとうございます。私もQTをPCで出力する方法に困って、ProResで可能ならばとVEGAS14を導入しました。でも、こちらで拝見するとアップル環境で最新版のpremiereCCを使用している方にはファイルは送れないということと理解しました。
 ちょうど、VEGASのバージョンアップの案内が来たので15にしてみましたが、ご指摘の不具合については対策は講じられているのでしょうか?
 小生、マックを使っていないので、検証ができないのですが。
もし、ご存じでしたら、お教え下さい。

NIIMURA Yasuoさんコメントありがとうざいます。

私もとりあえず15を購入してみましたが、まだ検証などはできておりません。
仕事が落ち着き次第、検証して記事にしようと思いますので、お待ちいただければと思います。

お忙しいところ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

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